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師範    栗山 令道

第205回中央支部摂心会法話
鬼一法眼の武道訓と 直心影流「法定の形」

2016年11月6日、宏道会は創立60周年記念式という大きな区切りになるイベントを盛会裡に行うことが出来ました。


記念演武から式典、懇親会まで、延べ約130人が全国から集った会でした。


式典に先立ち、1時間かけて行われた一刀流、無刀流、直心影流の形演武、宏道会流の模範地稽古は、大人も子どももそれぞれ終始気合いと真剣味が入った展開となりました。


演武終了後、来賓としてお招きした剣道の先生方が私のところに来られ、「イヤーッ!いいものを見せていただいた。是非続けていただきたい。広めていただきたい…!」と、口を揃えて言われました。


そのときの先生方の表情が忘れられません。


後にその中のお一人は、「あの演武が始まった瞬間、“殺される!”と思った」と述懐しておられました。


そういう剣道を、文字通り「剣」があり「道」がある剣道を、私たちは60年続けて来ました。


そして、一つの成果を出すことが出来たのです。

宏道会が目標とする道人・小川忠太郎先生は、数々の名語録を遺されていますが、その中で私が最も好きな二つを挙げるなら、


一つは、「正しいことをやり抜くことほど、楽しいことはない」


もう一つは、「剣と禅の両輪で、まごころの井戸を掘り起こす。そうすると、人がそれを飲むことができる」というお言葉です。


この二つのお言葉は、宏道会が毎回稽古前に必ず唱えている「正しく楽しく仲よく」を、もう少し具体的に言い表したお言葉ということができるでしょう。


そして、それをさらに分かりやすい指標・戒めとしたのが、稽古後に唱える「五戒」です。
 

「剣の理法」にのっとり、「人間形成」を目標とした正しい稽古を正しく行う(三昧になって稽古数をかける)ことで、私たちの心は洗われ、すがすがしい心身で何事にも向き合えるようになります。そして、お互いに真剣三昧、体と体をぶつけ合い、打たれては「参った!」と思い合う者同士は、対立ではなく「一体」に向かいます。

 

終わりなき道「正しく」を深めれば深めるほど「楽しく仲良く」を深めることができるのです。


この、自利と利他の道のりを、大人は自分の半生と照らし合わせて味わうことができます。


しかし、子どもはそのことを味わえる大人になるまで、残念ながら続かない。


どうしたら、少しでも多くの子どもたちが続く会にすることができるか?


このことを皆で真剣に考え、工夫することは、きっと、もうひと味、「正しく楽しく仲よく」を深めることになるのではないでしょうか?           
                                                                                                                                                                                                                                                                               合掌

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