小川忠太郎先生剣道話(52)~稽古で、人を立てる人格になる~
〇さんは良いところに縁があった。
剣道がこれだけ出来たら、もう少しだ。
遠間だけやればいい。
これからやっていけば、稽古の中でちょいちょい「悟り」がある。
もうそこへ行っている。
お互いに稽古していると、相手に打たれる。
打たれたところに自分の欠点があるんだから、それを教えてもらって有り難かったなと、相手に感謝する。
後で、どういう欠点かを反省してそれを直す。
そういう精神を養っていくと、世の中へ出て、人を立てる人格になる。
相手に感謝するんだから、打たれて有り難い。
相手に悪口言われたって有り難いんだもの、敵なんか無くなっちゃう。
俺の欠点を教えてくれているんだと思う。
人間の幅が広くなる。
そういう教えが大事。
自分の技は、十分行っても足りないと思え、相手には軽く打たれても参ったと思え。
感謝する気持ちで直していく。
そうすると、だんだん心境がひらけていく。
そうでないと、剣道は慢心する。
人を入れないような人間になっちゃう。
これじゃあ、やらない方がいい。
昭和56年11月22日述 『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より *タイトル……栗山 令道
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