与謝蕪村の句に、 朝日さす老師が家や福寿草 というのがある。 そういえば、自宅の庭に咲く福寿草の鮮やかな花色に気づく冬の寒い朝は、毎年朝日がさしていたように思う。 「氷を突き破って花を開く」というこの花も、少しでも冬の冷気が花から入り込まないよう、日中でも陽があたる中で開き、陽がかげると花を閉じて身を守っているのだそうだ。 この花の開花から、寒中の春の知らせと訪れが続く。 フキノトウが落ち葉を押し退けてうす緑色のつぼみで顔を出す。 梅の花がほころんで、香を放つ。 木蓮、辛夷(こぶし)がつぼみをたたえ、日一日とふくよかになっていく。 昨夜、庭のフキノトウを天ぷらにして春の息吹きをいただいた。 そのせいだろうか、天土のしわざだろうか、なにやら私の中でうごめくものがある。 身が息吹く、思いも息吹く、時は春。 徳利山
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