その修行(前段の、「『打とう』と思うと崩れちゃう。相手が恐ろしいと思うと胸に来ちゃう。その状態を、すぐ腹と腰に収める。それが修行だ。」を指す。)をしっかりやっていないと、上がったら、上がったきりで収まらない。収まりさえすれば「ズッ」と行ける。
ここから技が出る。それを「腹・腰の調子」と言う。リズムから技が出る。
これをもっと難しく言えば、自分の本体は「不動心」だ。だから、切り返しを正確にやる。法定の形を、うんとやる。四本の形でなくとも、打ち込みだけでも。これが根本だ。
こういう稽古をしていると、やることがみんな身に付く。相手を打つことが修行じゃない。いつでも自分の「本体」を離れない修行をすると、みんな自分の身に付く。
技だけやったんじゃ身に付かない。スポーツ剣道と古流の本当の剣道とは、そこが違う。
古流の剣道は、本体を練るものなんだ。腹と腰と顎。そこをしっかり練る。
一番苦しいし、面白くない。初めは面白くないけれど、ここからリズムが出始めたら、これは面白い。自分のものなんだから。
みんな、その一歩前まで来ているから、その方向のまま、法定の形を「ハーッ」としっかりやる。腹と腰。
一番良いのは、背中に目が付くようになるといい。稽古でも相手の背中を見て稽古する。肉眼で見えるはずがないけれども、本当に自分の調和が出来ると、相手と一つになっちゃう。
その根本は「腹と腰」だからね。ここを法定の形でしっかり練るようにね。
これを細かく言うと、左足と左手と腰。
今日は、法定の形の「腹と腰」の話。こう構えたまま、「ズーッ」と歩いて行けばいい。打たれるのは、こちらが動くからだ。
ここを反省しながら稽古していく。
昭和57年4月25日
宏道会剣道場にて
(『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より)
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