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「合掌」が破れないで「機会」を打つ ~小川忠太郎先生剣道話(59)~

きょうは、みんながお互いに稽古をする際の事を、ひとつ注意しておく。 剣道はまず、「気剣体の一致」が出来なくてはいけない。 それは、切り返し・掛かり稽古をしっかりやれば得られる。これは三角矩の中段の構え。 この「本体」に相手が来れば、相手との間に「関係」が生じる。地稽古(注1)の場合、相手と自分が一つになる。 だから「合掌」だよ。合掌の気持ちで相手に対する。敵じゃない。「相手と一つ」だからな。 間合いが遠くの時はいい。近くに来ると「打とう」という気持ちが出て、この「合掌」が破れちゃう。そこが問題なんだ。 「打とう、突こう」という気持ちがあってもいいんだ。打つべき時、突くべき時ならね。 「機会」というものがある。「合掌」が破れないで、そういうものがあるならいい。つまり、本体が崩れないことが大事だ。 これは、修行して自得する。自分で持っているものだからね。 一足一刀の間合に入ったら、「乗る」こと。剣道は、乗るか乗られるかだ。 この一足一刀の間合から、自分が主導する立場に立たなければいけない。 相手が打とうとする時、一緒に何かしようとしない。これは、無刀流の形の「引き身の本覚」にある。相手が打とうとするところを「パッ」と。これをひとつ研究する。 これを「機先を制する」という。「パッ」と。これを「張り技」という。 (中略) 「張り技」。これは稽古で覚える。〇〇さんなんか、だいぶいいよ。これをひとつ覚えたら、稽古が楽になる。 きょうは、これだけ話しておく。「機先を制する」(注2)。 注1) 防具を付けて竹刀を持った者同士による真剣勝負の繰り返し稽古。 注2) 本文冒頭の「合掌」と最後の「機先を制する」は別のことではない。合掌の気持ちで相手に対し、相手と一つになる。一足一刀の間合に入ったら「乗って」パッと「機会」を打つ。これすなわち「機先を制する」ことであると、先生は言われている。「機先を制するは充実にあり」とも言われた。 昭和57年2月14日 宏道会剣道場述 (『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より)


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