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「浩然の気」と「間合い」(上)~小川忠太郎先生剣道話(62)~

いま朝稽古をやっているから、急に力がついて稽古が上がってきた。 剣道は一本の技でいい。「現在」の一本。だから、直心影流法定の「切り落とし(打ち込み)一本」の中に全部入っている。 そういう一本もあるし、内容のない一本もある。そばで見ていると同じだけれど、内容が違う。 いい一本は、まず構えがいい。姿勢が自然体なんだ。どこにも無理がない。肩にもどこにも力が入っていない。 それから、その自然体に気迫が充満している。この気迫は、負けん気の「血気の気迫」じゃない。これは、練って会得した「浩然の気」だ。これが充満していなくちゃいけない。 あとは、「間合い」ですね。 そういう内容が完全で、それが現在に現れた「一本」。大変ですよ。 今の人がやってる剣道には、そういうものがない。目と手だけで「当てっこ」をやっている。いくらやってもだめだ。早ワザとかなんとかね。 そういう内容を養うのに一番いいのは「切り返し」(相手の左右面を繰り返し繰り返し打ち続ける稽古法)だね。正しく竹刀を持って、正しい切り返し。これを全力てする。 だから、本当にやって最後の一本が全力で打てれば、それがその「一本」だ。これは説明出来ない。 皆さんの切り返しは良くなってきたですよ。ただ、それに「冴え」が出てくればもっといい。 やっていると、自然にそこへ行っちゃう。やってさえいれば覚える。正しい稽古に数をかければいい。 もう少しです。工夫をする。 昭和57年3月14日 宏道会剣道場述 (『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より)


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