また一人、宏道会を駆ける凄い人がいる。 「凄い」というのは、経歴が凄いとか武道の高段者であるとか、ということではない。 宏道会での修行、稽古に対する打ち込み方が凄いのである。 村上さん46歳。1年前に宏道会に入会して以来、土日の朝は茨城県の自宅から、水曜の夜は都内の職場から道場に駆けつけては、熱誠あふれんばかりの稽古にたゆみない。 1年で、小野派一刀流の形105本を殆ど覚えてしまう。 45歳にして初めて竹刀を握って臨む宏道会の厳しい切り返し、掛かり稽古にも人一倍積極的に掛かる。 苦しさよりも楽しさが勝るのか、苦しい顔も見せず、土日は朝早くに「楽しくて、自然に目が覚めてしまう」と言う。 村上さんにとって宏道会は、“我が意を得た場”であるようだ。 そのあたりのことを、2月13日の稽古後に道場近くのじゅんさい池公園で行なった梅見の席で、楽しい酒を酌み交わしながら初めて知る機会を得た。 宏道会に出会うまで、村上さんは柔道をされていたが、掴み合ったところから始まる現代の柔道には、お互いの気と気がぶつかり合って勝敗を分けるというような本来の武道の面白みに欠けるような気がして、「物足りなさを感じていた」と言う。 そんな矢先、書店である一冊の本が目に付いた。 表紙の「『刀耕清話』~小川忠太郎の遺した魂(こころ)~」というタイトルと、慈愛と人格の深みが滲み出た晩年の小川忠太郎先生の顔写真に惹かれるまま、本を手に取り何枚かページをめくった。 その時、「これだッ!と思いました」と村上さんは言う。 この本の著者は、人間禅の名誉会員でもある静岡大学名誉教授杉山融先生で、月刊『剣道時代』に連載されたものをもとに加筆推敲して一冊の本に仕上げたもの。 そして、連載中から出版までを担当者として力を注いだのが、張替(現人間禅中央支部の剣外居士)氏であった。 同書には、宏道会発行の『小川忠太郎先生剣道話』の第一巻・二巻、機関誌『宏道』の内容もたびたび引用されている。 村上さんは、これらを発行し、かつて小川忠太郎先生が最高師範を務められていた剣道場「宏道会」を訪ねた。 そこで目にしたものこそ、村上さんが求めていた、気と気の押し引き、心と心とが磨きあう、人間形成の武道であった。 とりわけ、形稽古と形の応用として形と同じように三間の間からヂリヂリと間を詰めて打ち合う防具を付けた真剣勝負・地稽古に「気と気がぶつかり合う」気迫を見た。 この地稽古で使われる竹刀は刀と同じ長さの3尺2寸から4寸。この短い竹刀を刀として、大きく振りかぶって打つ、突く。 残念ながら、このような剣道は現代剣道には見られない。 じゅんさい池公園の梅香ただよう冷たい空気が心地良い。 座禅から始まる宏道会の稽古で身も心も洗われた清々しさは一同同じ。 子どもたちが先に去った後も、大人たちはさらに盛り上がる。 「『刀耕清話』~小川忠太郎の遺した魂(こころ)~」、ここに。 (栗山令道 記)
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