小川忠太郎先生剣道話(35)~剣道の第一歩~
〇〇君は、ドイツに行ったりして稽古を休んでいたからな、稽古の基礎が出来ていない。 禅で言うと数息観が足りない。三昧が。 数息観が足りなくて公案を頭で考えて…そんなものは何にもなりはしない。 こっちから「ピタッ」と一枚にならなくちゃ。 普段、素振り、切り返し、掛かり稽古をしっかりやる。 それをしないで稽古(地稽古。防具をつけて竹刀で行う真剣勝負)をしようとしても、それは無理だ。 順序があるんだ。そこを知ってね。 だから、普段なるべく素振り、切り返し、掛かり稽古を一所懸命やって。 剣道の第一歩が、修体段(小川先生が制定した宏道会独自の級段位規定の一つ。修々級、修練段、修体段、修技段、妙位、離位、と続く)というところ。素振り、切り返し、掛かり稽古を一所懸命、本当に3年やると、中段(正眼)の構え、三角矩(さんかくく。剣先と目と腹)が決まる。 これが三昧とか一心というところ。 剣先と目と腹。これが大事。 ここで、自分というものが初めて現れる。 その前の自分は幽霊のようなものだ。「フラフラ」人に動かされてる。 修体段になると、初めて自主的になる。これが大事だ。 (次回に続く) 昭和55年7月 (『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より) タイトル、構成、()内…栗山令道
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