小川忠太郎先生剣道話(46)~名前だけで立ってる人~
何の特技もなくて、名前だけで立ってる人は本当に偉い人だ。
正受老人なんかも、何も有りはしないだろ。
坐ってばかりおったんだから。
それであれだけの感化を与えている。
弟子に白隠禅師を出してる。
どの位偉いか見当もつかないな。
今でもその感化が続いている。
現代でも崇拝している人が非常に多いでしょ。
「正受老人」。
寺を持たなかった。
それは物凄いものだ。
しかしね、普通の世の中じゃ、形式も大事だよ。
私の若い頃、一橋、当時の高商に福田徳三という経済学者がいた。
その相棒が京都の河上肇だった。
この頭のいい人がね、「博士になんか成りたくない。けれども、博士にならないと人が言うことを信じない」と言っていた。
「学士さんじゃ駄目だ」って言うんだ。
「そのために博士になる」って。
一般の社会っていうものはそんなものだ。
だから、社会を相手にするには、そういうものは必要だよ。 昭和56年8月 (『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より) タイトル、構成…栗山令道
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