小川忠太郎先生剣道話(5)~変化する中で「正しい」という事を修行する~
皆さん、寒稽古をやったね。あの真剣な気持ちで、「正しく」という所、この一念を目標にね。
「正しい」という所。静坐も剣道も正しく。
これは易しいようだが、難しい。静坐というのは正しい指導者がいないと間違う。ここは立派な指導者がいるから皆さんは幸せだ。
剣道の方は、小さい人は単純な事で正しい事を修行する。
単純な事というのは「切り返し」なんだ。正しい「切り返し」。これが出来る人はないですよ。
これも指導者に付いて、正しい切り返しをする。
そうすると、木を真っ直ぐ植えたようなもので、一生涯伸びていく。
稽古してさえいれば伸びていく。初め曲がって植えちゃうと、もうだめなんだ。非常に大事な所だね。
正しい切り返し。単純な技で修行する。
それから、青年の人はね、この「正しい」という所を、複雑な技で修行する。
今年は、私が来る時は地稽古をやる。
地稽古というのは変化なんだ。切り返しのように単純じゃない。
変化する。
複雑に変化する中で「正しい」という事を修行する。
そうして行きますと、それが皆さんの身に付くんですからね。
どうか今年は、小学生も指導者の方も、「正しい」という事を腹に置いて、しっかりやってもらいたいと思います。
昭和55年 新年の挨拶
(『小川忠太郎先生剣道話』第一巻より)
令道 記
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