小川忠太郎先生剣道話(4)~形と坐禅、この二つで!~
カテゴリ : ブログ執筆 : 宏道会 2017/6/18 1:35
形から修行していくと、やることに無駄がなくなる。剣道だってそうだ。
形から入れば上達が早い。
僕は40歳まで形をやらなかったから骨を折ったよ。捨て身を覚えるのに命懸けだよ。
形をやらずに他流試合ばかりだったから。非常に骨が折れた。
また、形をやらないと危険だね。自己流になっちゃう。
(中略)
まだ皆には分からないんだな。体験がないから。分からなくも、悪いことじゃないんだから、いいことを先に入れとく。いいことを先に入れとくと悪いものは入らないんだ。
剣道だってそうだ。正しい稽古をしとくと、おかしな稽古ははできない。だから、分からなくも一生懸命やっていればいい。
坐ることをしっかりやっとくと、形の分かり方も早くなる。
剣道はいいけれども欠点が一つある。剣道の場合は相手があって元気が出る。坐禅の場合は相手がない。
だから、昔の人が最後は坐禅をやったていうのは、そこにある。本当に徹底するためにね。
一番いい例が山岡先生(山岡鉄舟)。今のうちは、正しい坐相の坐禅をする。
坐禅で大事なのは坐禅儀にある「正身端坐」という所。昔、曹洞宗では「正身端坐」のために、竹の筒を頭上に乗せて坐ったっていうんだ。まるで軽業みたいにな。
ひょっとすると落っこっちゃう。ずーっと一枚になる。まず正しい坐相を作らなくちゃ。これが出来ないで、頭で物を考えていては駄目だ。
剣道で言えば正しい構えが出来なくちゃ。
「正身端坐」。なかなか坐相の決まっている人はないよ。よっぽど坐らないと。
あなた方は若いからいいんだ。年をとると背骨に癖が出来るからな。学生時代に、ここの剣道(人間禅付属宏道会)と正身端坐をしっかりやっとけば、身に付く。
形をしっかりやっとけば、稽古をやめたって、体のどこかに残ってる。本当の坐禅を組めば、坐禅の道場を出ても、どこかに残る。それが大事だ。
「正身端坐」。身を正して端坐する。そのために細かい箇条書きがあるんだ。だけど根本はこの4字。
子供の場合、間違っているのは遠慮なく直してやるといいんだね。背骨だけは真っ直ぐにな。
あんな小さい時からならば、なおいいな。背骨を真っ直ぐにするだけで。
形と坐禅、この二つで!
昭和54年12月
(『小川忠太郎先生剣道話』第一巻より)
令道 記
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