小川忠太郎先生剣道話(19)~白井亨の行き詰まりと禅~
(前回より続く) 防具稽古でもまた行き詰まるんですよ。世間を見ていると、いいと言われる人が40歳くらいからおかしくなる。例外なし。 それを打開したのが白井亨。 28歳の時に、これはおかしいと疑いを持った。 その後、寺田先生に縁があった。「稽古(防具を付けた竹刀稽古)なんかやるから駄目だ」と言われた。 「邪道だ」と言うんだな。それで寺田先生のもとで5年間やったって言うんだから、なかなか真剣だね。 水をかぶって精進料理。それで神経衰弱になっちゃった。 それで、これじゃ駄目だと思った時に、たまたま『夜船閑話』に縁があった。 死ぬ所まできていた白井亨が2ヶ月で回復しちゃった。それで剣道が出来上がった。 今の剣道の弱点は、そこにある。いかに技を積み重ねていくかだから、体力が衰えると駄目になる。 そこを破らにゃいかん。どう破るかだな。 禅だね。白井亨は『夜船閑話』。 しかし、これは素人の禅だな。だけど真剣になると自己流でそこまで行けるんだね。 寺田先生は本式だ。東嶺和尚についた。しかしまぁ、白井亨も、その寺田先生に指導されているからな。道は間違っていない。 (次回に続く) 昭和55年3月 『小川忠太郎先生剣道話 第一巻』より タイトル・抜粋… 令道
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